成年後見について

成年後見 保佐 補助

1.1人暮らしの父がいますが、ここ数年で認知症が進んでいる様に思います。母が生前に一度リフォームしてまだ綺麗な台所を、全く料理をしないにもかかわらずリフォームしたり、既に亡くなっている母の為にと、何着も高価な着物を買ったりしています。このまま放っておけません。どうしたらいいでしょうか?
2.成年後見制度には、法定後見と任意後見があると聞きました。法定後見とは何ですか?後見・保佐・補助の違いは何ですか?
3.私は、最近物忘れがひどくなり、お金の管理も難しくなってきました。傍に身内の者は誰もいませんが、成年後見制度(法定後見)を利用できますか?
4.成年後見制度(法定後見)を利用しようと思っているのですが、親族が協力してくれません。この様な場合でも利用は可能ですか?親族が反対している場合はどうでしょうか?
5.資産は自宅と僅かな貯金しかありませんが、成年後見制度を利用する必要はありますか?
6.成年後見人になって下さいと言われました。私に出来ますか?
1.1人暮らしの父がいますが、ここ数年で認知症が進んでいる様に思います。母が生前に一度リフォームしてまだ綺麗な台所を、全く料理をしないにもかかわらずリフォームしたり、既に亡くなっている母の為にと、何着も高価な着物を買ったりしています。このまま放っておけません。どうしたらいいでしょうか?
台所のリフォームや、着物の購入が、お父様の正常な判断の元になされたのであれば、誰も文句は言えません。自己責任です。
しかし、お父様の判断能力が低下している状態で、リフォームの契約や、着物の売買契約をしたのであれば問題です。この様な場合、相手側は、お父様の判断能力が低下している事に付け込んで契約を結ばせる事もありますし、判断能力の低下に気付かずに契約する事も有り得ます。ですので、後日、親族の方がリフォームや着物の購入に気付いたとしても、お父様の判断能力の低下という事情のみでは、必ずしもお父様の権利の救済を図れるとは限らないのです。
そこで、この様な場合に、あらかじめ成年後見制度を活用していれば、リフォームの契約や着物の売買契約を取消し、代金の返還を受ける事が可能となるのです。
2.成年後見制度には、法定後見と任意後見があると聞きました。法定後見とは何ですか?後見・保佐・補助の違いは何ですか?
まず、成年後見制度についてですが、これは大まかに申しますと、判断能力が衰えた方の為に、法定代理人を選任して、財産管理等をさせる事により、権利保護を図る事を目的としております。
そして、成年後見制度には、法定後見任意後見の2種類があります。
法定後見は、判断能力が衰えてきた方又は衰えてしまった方の保護の為に、裁判所に申し立てる事によってなされます。そして、本人の判断能力の衰えが強い順に、成年後見人、保佐人、補助人という法定代理人が選任され、これらの法定代理人が本人をサポートしていきます。
これに対して、任意後見は、本人の判断能力が十分ある時に、もしも将来判断能力が衰えてしまった場合に備えて、予め本人の代理人となってくれる方と公正証書により契約を結ぶ事により、本人をサポートする制度です。
3.私は、最近物忘れがひどくなり、お金の管理も難しくなってきました。傍に身内の者は誰もいませんが、成年後見制度(法定後見)を利用できますか?
もちろん出来ます。成年後見等の申し立てをする場合、成年後見人等の候補者を予め探して申し立てをする事が出来ますが、候補者がいない場合には裁判所が成年後見人等を探して選任します。ですので、身内の方が誰もいなくても、成年後見制度(法定後見)を利用する事は可能です。
4.成年後見制度(法定後見)を利用しようと思っているのですが、親族が協力してくれません。この様な場合でも利用は可能ですか?親族が反対している場合はどうでしょうか?
成年後見人等の候補者をあらかじめ探す事が出来ない場合でも、成年後見制度(法定後見)が利用可能なのは、前述のQ3のとおりです。
実務では、成年後見等の申し立てをする場合、親族の同意書を添付する事になっております。親族が非協力的だったり反対している場合には、同意書への署名は期待できません。しかし、成年後見制度(法定後見)は、判断能力の衰えた方の保護の為の制度ですので、この様な場合でも利用は可能です。この場合は、同意書を添付せずにその旨を申立書の附属書類に記載すれば大丈夫です。
5.資産は自宅と僅かな貯金しかありませんが、成年後見制度を利用する必要はありますか?
これは、本人の判断能力の衰え方次第です。仮に、本人の判断能力が衰えている事に付け込む輩がいた場合、本人をうまくそそのかして、自宅を奪ってしまうかもしれません。僅かな貯金を奪われる事も有り得ます。
この様な場合、成年後見人等が選任されていれば、財産を取り戻す事が可能です。本人の判断能力が衰えてきた場合、本人を誰かがいつも見守ってくれる環境が整っていないのであれば、必要に応じて、成年後見制度(法定後見)を利用すべきでしょう。
6.成年後見人になって下さいと言われました。私に出来ますか?
成年後見人に選任された場合、本人に代わって契約を締結したり、財産を管理する必要があります。場合によっては、本人の自宅を売却して将来の生活費を確保したり、施設利用料等を捻出する必要も出てきます。本人がトラブルに巻き込まれた場合には、トラブルに対処しなければならない場合もあります。そして、裁判所に定期的に報告をしなければならないので、ワードやエクセルが使えた方が便利です。
このように書くと、成年後見人になる事は無理と思ってしまうかもしれませんが、この様な場合には、是非、専門家をご活用下さい。例えば報告書作成を専門家に依頼するといった事も可能です。判断能力が衰えた方を本当に助けたいという気持ちさえあれば、専門家に協力してもらう事により、どなたでも可能だと思います。

任意後見 財産管理委任契約

1.今はまだ大丈夫ですが、将来自分の具合が悪くなった時に子供達に迷惑を掛けたくはありません。何か良い方法はありませんか?任意後見制度とはどういう制度ですか?
2.公証役場で任意後見契約を結びましたが、将来私の判断能力が低下した場合には、自動的に任意後見契約の効力は生じるのでしょうか?
3.まだまだ頭はしっかりしているのですが、足腰が少し弱くなり、お金の振込や通帳の記帳といった細かな財産管理は煩わしくなってきました。どなたか信頼できる方に財産管理をお願いしたいのですが、どなたにお願いすれば良いでしょうか?
4.私はアパート住まいですが、身寄りがいない為、死んだ後のアパートの後始末や葬儀等をあらかじめ誰かにお願いする事は出来ますか?
5.1人暮らしの母には任意後見人が選任されていますが、先日、任意後見人に内緒で、200万円もする指輪を買ってきてしまいました。どうすればいいでしょうか?
1.今はまだ大丈夫ですが、将来自分の具合が悪くなった時に子供達に迷惑を掛けたくはありません。何か良い方法はありませんか?任意後見制度とはどういう制度ですか?
任意後見制度は、本人が十分な判断能力を有している時に、将来判断能力が衰えてきた場合に備えて、あらかじめ、本人をサポートする任意後見人と任意後見人に依頼する事務の内容を公正証書で定めておく制度です。
上記の様な事例では、判断能力が十分にあると思われますので、あらかじめ任意後見人となって下さる方と将来行ってもらいたい事務について話し合い、公証役場で任意後見契約書を作成する事により、将来判断能力が低下した場合に、任意後見人に事務を行ってもらう事が可能となります。
例えば、任意後見人との契約に、「介護契約の締結・変更・解除及び費用の支払」という事を記載しておけば、本人の判断能力が低下し必要が生じた際には、任意後見人が本人にとって適切な介護契約を結び、介護事業者より本人は適切な介護を受ける事が可能となるのです。この時、任意後見制度を利用していない場合には、通常は本人の子供達が手続を代行する事が多くなると思われます。
2.公証役場で任意後見契約を結びましたが、将来私の判断能力が低下した場合には、自動的に任意後見契約の効力は生じるのでしょうか?
任意後見は、公証役場で任意後見契約を結んだだけでは効力は生じません。任意後見は、本人の判断能力が衰えた場合に、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立て、裁判所が任意後見監督人を選任し、その登記がされて初めて効力が生じます。
上記の事例の場合、本人の判断能力が低下した後に、裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てなければ任意後見契約の効力は生じません。ですので、誰かが常日頃から本人の様子に注意を払っていなければ、任意後見契約をしても、判断能力の低下に気付かず、申し立てをする事も出来ません。もしも回りに様子をみてくれる方がいらっしゃらないのであれば、任意後見人に定期的に様子を見に来てもらうようにするのもいいかもしれません。
3.まだまだ頭はしっかりしているのですが、足腰が少し弱くなり、お金の振込や通帳の記帳といった細かな財産管理は煩わしくなってきました。どなたか信頼できる方に財産管理をお願いしたいのですが、どなたにお願いすれば良いでしょうか?
法定後見制度や任意後見制度は、判断能力の衰えが要件となりますので、足腰が弱くなった等の身体的要因だけでは利用は難しいと思われます。しかし、このような場合でも、一定の財産管理を代行してもらう方法があります。
将来に備えて任意後見契約を結ぶ事を前提に、任意後見人候補者と、任意後見契約とは別途に財産管理委任契約を結ぶ事が考えられます。少し複雑ですので整理しますと、任意後見契約は判断能力が衰えるまでは効力は生じませんので、効力が生じるまでの間、もう1つ財産管理の委任契約を結んで、任意後見契約の効力が生じるまでの間は、財産管理委任契約でサポートし、判断能力が衰えてからは任意後見契約でサポートするという事になります。
4.私はアパート住まいですが、身寄りがいない為、死んだ後のアパートの後始末や葬儀等をあらかじめ誰かにお願いする事は出来ますか?
法定後見にしろ、任意後見にしろ、本人の死亡によって当然に終了しますので、後見人等は、本人の死後は、緊急性のある事務しか行う事が出来ません。上記事例で、アパートの後始末や葬儀等は、本人の相続人が行うものと思われますので、仮に後見人等がこれらを行い、過分な費用が掛かった場合、この事務の適否について、後見人等と相続人とのトラブルになりかねません。身寄りがいない場合でも、戸籍等を遡る事により、通常、相続人が判明致しますので、近くに身寄りがいない場合でも、後見人等は相続人を意識して事務を行わざるを得ません。本人の死後の後見事務には、この様な制約がありますので、後見人それぞれの判断によって、行われる事務に相当の違いが生じると思われます。
この様に、本人の死後の事務は、現状としては後見事務としてサポートされてはおらず、後見人それぞれの自己責任で進められているものですので、本人が死後に希望する事については、あらかじめ後見人等と死後の処理の委任契約を結んでおかれた方が無難です。
5.1人暮らしの母には任意後見人が選任されていますが、先日、任意後見人に内緒で、200万円もする指輪を買ってきてしまいました。どうすればいいでしょうか?
任意後見と法定後見の違いの1つに、本人の行為能力の制限の有無があり、任意後見の場合、本人の行為能力は制限されません。法律用語で分かり辛いですが、行為能力とは、簡単に言うと、自分1人で契約出来る力と考えて下さい。
法定後見の場合、本人の行為能力は制限されますので、本人は1人で契約出来ません。仮に本人が契約してしまっても、1人で契約する力が無いのですから、成年後見人等が後日、契約を取消し、売買代金の返還を受ける事が可能です。
しかし、任意後見の場合、本人の行為能力は制限されませんので、本人が1人で契約が可能となります。上記例ですと、200万円の指輪の売買契約を本人が1人でする事が可能となります。この場合、契約は有効となり他に取消事由や無効事由が無い場合には、本人は200万円を支払わなければならない事になります。
上記の様な事があらかじめ想定される場合には、任意後見が継続中であっても、法定後見に切りかえる事も検討した方が賢明かもしれません。