ペットのトラブル

最近ペットのトラブルが増えてきています。ここでは、ペットに関するトラブルを実際の裁判例を挙げてご紹介します。

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ケース1.ノーリードのゴールデンレトリバーとぶつかって、約1,903万円の損害賠償!!

これは、東京地方裁判所で争われた事案です。事案の概要を申しますと、ゴールデンレトリバーの成犬(約30kg)と幼犬を公園でテニスボールを取ってこさせて遊んでいたところ、女性に衝突し転倒した事により、女性が顔面、胸背部、四肢外傷及び顔面骨骨折、頸骨高原骨折等の障害を負ったという事案です。この衝突の際、証人の証言では、女性は1回転してうつぶせに倒れたと供述しており、衝突の激しさが窺い知れます。そして、裁判所は、損害金額を2,139万1,192円と算定し、保険会社から女性に支払われた保険金を差し引いた、約1,903万円の損害賠償を認めました。ノーリードで犬を公園で遊ばせている方をこの頃よく見かけますが、思わぬ大惨事となる事があります。

ケース2.ペットの医療過誤(糖尿病の日本スピッツ犬の死亡事故)

これは、東京地方裁判所で争われた事案です。事案の概要は、糖尿病治療中だった日本スピッツ犬に対し、獣医師がインスリンの投与を怠った為に死亡したとして、飼い主である夫婦が損害賠償を請求した事案です。ここでは、人間の医療過誤の裁判と同じように、獣医師の治療方法が医学的に見て相当だったかどうかという争いなのですが、これに対して裁判所は、検査結果及び当時の状況から、インスリンの投与を怠った事に獣医師の過失があると判断しました。そして、犬を「生命を持たない動産とは異なり、個性を有し、自らの意思によって行動するという特徴があり、飼い主とのコミュニケーションを通じて飼い主にとってかけがえのない存在になることがある。」として、精神的な損害に対する慰謝料を夫婦それぞれに対し30万円ずつ、合計60万円認めました。飼い主からするとこの慰謝料では納得出来ないかもしれませんが、裁判所が慰謝料算定にあたりペットを特別な存在として扱っている事が窺い知れた事案です。

ケース3.ミニチュアダックスフンドをペットホテルに預けたら骨折!!

これは青梅簡易裁判所で争われた事案です。事案の概要は、1日2,500円のペットホテルにミニチュアダックスフンドを預け、後日引き取りに行ったところ、右前足を地面につける事が出来ず3本足で歩いていた為、飼い主が動物病院で診断を受けたところ、右前肢上腕骨遠位部骨折と診断され、ペットホテルに損害賠償を請求した事案です。この際、ペットホテル側は「前に骨折した事はないか?」と飼い主に尋ね、飼い主が「無い」と答えると、「昔の骨折のせいである」と言って、話し合いに応じなかった旨が判決には記載されております。この事案に対し裁判所は「被告(ペットホテルの営業者)は、一般人よりも高度の注意義務を負っていると認められ、被告は、その業務に関して注意義務を怠った」として10万1,600円の損害賠償を認めました。

ケース4.マンションでチワワを飼ったら、退去時に原状回復費用約50万円請求!!

これは、東京簡易裁判所で争われた事案です。事案の概要は、マンション(ペット可)を敷金41万7,000円を支払って借り、マンション内でチワワを飼っていたが、約1年半で退去し、退去後に敷金の返還を求めたところ、逆に貸主より、50万745円の請求を受けた為、借主が敷金の返還を求めた事案です。ここで問題となった点は、マンションを借りる際の契約で、「室内のリフォーム費用を借主が負担する」という内容の項目があった為、貸主が高額のリフォーム費用を借主に請求した点です。言い換えれば、契約に定められていれば何でもかんでも借主は費用を負担しなければならないのか?という点について争いがあった訳です。結論としては、裁判所はハウスクリーニング費用は借主の負担とした上で、敷金41万7,000円の内、35万7,360円を借主に返還せよという判決が出ました。借主は、自分にとって不利な事項が契約書に書かれていても、諦めてはいけないという事例だと思います。

ケース5.リードを手放し、レトリバーが逃走。自転車と衝突して、約82万円の損害賠償!!

これは、東京地方裁判所で争われた事案です。事案の概要は、公園内の通路を自転車が走行中、ゴールデンレトリバーが飛び出してきて、自転車を運転していた方は、左大腿骨骨折等の傷害を負った為、訴訟を提起したという事案です。この事案では、飼い主が「リードを直前まで持っていたが犬が驚いて逃げ出した為に衝突した」と主張し、飼い主の過失の有無について争われた点が着目すべき点です。裁判所は、要約しますと「犬の飼い主は、相当の注意を払って犬の管理をしていた事を証明しない限り、損害賠償責任を負う」として、飼い主に約82万円の支払いを命じました。この事案で注意すべき事は、例えリードを直前まで握っていたとしても、それだけでは飼い主の責任は軽減されないという点でしょう。

ケース6.ペットの手術についても獣医の説明責任を認め30万円の損害賠償!!

これは、名古屋高等裁判所金沢支部で争われた事案です。高等裁判所での事案ですので、判決だけでも相当な量となります。ですので、細かい部分を省かせて頂きますが、事案としては、ゴールデンレトリバーの左前足にあった腫瘍を切除する際、獣医が、腫瘍が悪性である場合の再発等のリスクについて十分な説明を怠たり、手術後、愛犬が不幸にも亡くなってしまった為、飼い主は訴えを提起したという内容です。飼い主は、リスク等について十分な説明を受けていれば手術を受けなかったと主張し、『愛犬には苦しまずに安らかに眠って欲しい』という飼い主の自己決定権が損なわれた事から、説明義務違反による損害賠償が認められるか?という点が争いになりました。結論として、裁判所は説明義務違反による損害賠償請求を認め、その他の要素も含め飼い主2人で慰謝料合計30万円の支払いを命じました。